銘文『一文字出羽守行廣』 種別 脇差 長さ 57.1センチ 反り 0.9センチ 元幅30ミリ 元重6.5ミリ 先幅23ミリ 先重5ミリ 刀身570グラム (すべて約です) 岡山県教育委員会
初代肥前一文字行廣の魅せる一線を逸脱した一文字を写しのこの素晴らしい出来栄えです。
小板目肌が細かく詰んだ精美な鍛えに、刃紋は得意とする激しい丁子乱れを華やかに焼き、ライトにあてない状態でも刃の働きの凄さがわかり、少しあてると山の裾野を望むような凄い働きを見ることのでき大変見事で肥前刀のお手本となるような出来で刃中には金線も走り、激しさは群を抜いており、行廣の魅せる至宝の一振りです。
肥前国出羽守行廣は江戸初期の肥前刀を代表する名工で肥前刀の祖である忠吉の孫、初代河内大掾正廣の弟にあたり、名は橋本九郎兵衛といい天保5年に出羽大掾、寛文3年に出羽守を受領しました。初代肥前国出羽守行廣は石堂一派から備前伝を学び、銘鏨に一文字を現す鏨「一」を刻すことで有名な鍛冶であり肥前一文字と称されます。天和3年5月に行年66歳で没するまで多くの弟子を名工に育て上げた位の高い上工で新刀上作に列位します。