銘文『帝室技芸員月山貞一作之』『明治三十九年八月日為久原君』 種別 刀 長さ 二尺二寸八分 反り 四分五厘 元幅30ミリ 元重7ミリ 先幅21ミリ 先重5ミリ 刀身612重量グラム (すべて約です) 東京都教育委員会 昭和26年大名登録
希少な明治三十九年の年期は帝室技芸員(現在の人間国宝)の栄誉を賜った年である最高傑作の注文打ちで注文者様は大正時代を代表する実業家として活躍した後、政界へ転じ、第二次大戦が無ければ首相になっていたとも言われる久原房之助氏である奇跡の名刀です。
出来は群を抜いおり、最上の鍛えを示し、地沸厚くつき、美しく澄み切った鍛えに小丁字に小互の目交じり、沸強くつき、金線入り、砂流しかかる一線を逸脱した出来であり特色と見所を存分に示したまさに名刀の名に相応しい逸品と言えるでしょう。
月山貞一は、天保七年近江国生まれ、七歳の時に近江国に在住していた月山貞吉の養子となり、鍛刀を学び、後に父貞吉と共に大阪に移住、大阪月山家を立ち上げています。 嘉永二年より自作を始め、貞吉の晩年には代作代銘をなし、大正七年、八十四歳までの七十年間の長期に亘り刀匠として活躍しています。明治三十九年には帝室技芸員(現在の人間国宝)の栄誉を賜り、その才能は子貞勝、二代貞一へと受け継がれ、大阪月山家を不動のものとしています。