銘文『上野守藤原寿命』 種別 刀 長さ 69.1センチ 反り 1.8センチ 元幅31ミリ 元重6ミリ 先幅22ミリ 先重5ミリ 刀身693グラム (すべて約です) 新潟県教育委員会
本作は初代寛永頃の上野守寿命で非常に出来も良く特別保存刀剣に指定された見事な三本杉の名刀です。
寿命で特別保存刀剣に指定されている物はこちらと新刀大患所載のもの以外に当方は見たことがございません。
寿命は昔からおめでたい名の為に大変貴重品として扱われ寛永年間には尾張徳川家の求めに応じて隣国の尾張に駐鎚したものと考えられております。
本作は孫六を見るような得意の小互の目丁子刃を焼き刃縁には沸、ほつれ絡んで刃中は明るく冴え匂口明るく丹念に鍛えられた技量の凄さを是非ともご堪能ください。
良い金具を施した素晴らしい拵え付きです。
寿命は鎌倉時代より続く名門刀工です。もともとは大和から移住したものと考えられます。大和手掻派の流れを汲み、鎌倉時代に美濃国へ移住した後、新刀後期まで本国美濃や隣国の尾張で活躍し続けその名前がめでたい事からご祝儀や献上品として武家社会で重宝されたと言われます。新刀期の寿命一門は美濃国清水に居住していました。一門の丹後守寿命や表題の河内守寿命、美濃守寿命、上野守寿命などは寛永年間には尾張徳川家の求めに応じて隣国の尾張に駐鎚したものと考えられております。